合同会社は、設立後に株式会社へ組織変更できます。このため「まず費用の低い合同会社で始め、必要になったら変えればよい」と考えることもできます。ただし、名称だけを書き換える手続ではありません。会社の仕組みを持分会社から株式会社へ組み替えるため、計画と時間が必要です。
組織変更という手続を使う
合同会社をいったん清算して新会社を作るのではなく、会社法上の組織変更によって株式会社へ移行できます。会社としての連続性を保ちながら、株式、株主、役員等の仕組みへ変えます。
組織変更計画では、変更後の商号、目的、本店、発行可能株式総数、役員、効力発生日等を定めます。合同会社の社員は、変更後には株主となり、役員を誰にするかも決めます。今の会社を残したまま、運営の前提を作り直す手続だと考えると分かりやすいでしょう。
社員の同意と債権者保護が必要
組織変更では、原則として総社員の同意が必要です。また、債権者が異議を述べる機会を確保するため、官報公告等の債権者保護手続を行います。
公告期間を含めた準備が必要になるため、取引先から株式会社を求められてから数日で変えることはできません。債権者や契約関係が多い会社ほど、通知先、名義変更、契約上の承諾条件も確認します。登記だけの日程ではなく、営業上いつから株式会社名を使うかまで計画します。
効力発生日に登記を申請する
組織変更の効力発生日に、合同会社の解散登記と株式会社の設立登記を同時に申請します。役員の就任承諾、印鑑関係、登録免許税等の準備も必要です。
具体的な添付書類は、会社の構成、公告方法、債権者からの異議の有無等によって変わります。
最初から株式会社も比較する
将来変更できるとしても、組織変更には期間と費用がかかります。第三者やベンチャーキャピタルから株式による出資を受ける計画、株式上場、株式譲渡によるM&Aが具体的なら、設立前に株式会社を比較します。契約や制度の利用条件として株式会社が求められる場合も同様です。
反対に、出資者自身が経営し、当面は外部株主を迎えないなら、合同会社から始めることが合理的な場合もあります。「後で変えられるか」だけでなく、「変更が必要になる可能性がどれほど具体的か」を設立時に考えることが判断の分かれ目です。
合同会社と株式会社の違いと選び方のポイントでも判断材料を整理しています。
参考となる公式情報
法務局は、持分会社から株式会社への組織変更登記の申請書と記載例を公開しています。