合同会社の社員には、個人だけでなく法人もなることができます。親会社が全額を出資して合同会社を設立すれば、100%子会社とする構成も可能です。ただし、法人そのものが申請書へ署名したり、日々の職務を行ったりすることはできないため、実際に職務を担う人を決める必要があります。
個人1人で設立する合同会社とは、登記される事項と添付書面が異なります。親会社が出資することだけを決めて、誰が子会社を代表するかを後回しにすると、定款や親会社側の決議を作り直すことになりかねません。
法人は合同会社の社員になれる
合同会社の「社員」は従業員ではなく、会社へ出資して構成員となる人または法人です。株式会社などの法人が合同会社へ出資し、その社員となることもできます。
法人社員を含む場合も、商号、本店、事業目的、資本金、事業年度などを決める基本の流れは同じです。一方で、出資する親会社の名称・本店・会社法人等番号を確認し、親会社側で誰がどの権限に基づいて子会社設立を決定するかを整理します。
業務執行社員と代表社員を決める
社員は原則として会社の業務を執行しますが、定款で業務執行社員を定めることもできます。業務執行社員の中から、合同会社を対外的に代表する代表社員を定める構成があります。
100%子会社では、親会社だけが社員となり、その親会社を業務執行社員・代表社員とする設計が考えられます。ただし、実際の事業内容、グループ内の権限、将来ほかの出資者を迎える可能性により、適切な定款は変わります。合同会社という形が常に子会社へ適しているわけではなく、資金調達や将来の譲渡も含めて株式会社と比較します。
法人が業務を執行するときは職務執行者を選ぶ
業務執行社員が法人である場合、その法人は実際に職務を行う自然人を職務執行者として選任します。職務執行者は、法人社員に代わって合同会社の業務を行う人です。
法人が代表社員となる場合は、その法人の名称と住所に加え、職務執行者の氏名と住所も登記事項になります。親会社の代表取締役が自動的に職務執行者になるとは限りません。親会社の取締役会、社員の過半数による決定など、その法人の機関設計に合った方法で選任し、本人の就任承諾を得ます。
法人社員がいる場合の追加書類を確認する
一般的な定款や払込みを証する書面などに加えて、代表社員が法人である場合には、法人の登記事項証明書、職務執行者を選任したことを証する書面、職務執行者の就任承諾書などが関係します。
法人の登記事項証明書は、申請書へ会社法人等番号を記載することで添付を省略できる場合があります。選任書面には、取締役会議事録など、親会社が適切な機関で職務執行者を選んだことが分かる書面を用います。親会社の種類や機関設計によって決議方法が異なるため、既存のひな形をそのまま使わず確認します。
親会社側の目的と権限も整理する
子会社の設立書類だけでなく、親会社の事業目的に子会社で行う事業との関係が表れているか、子会社設立と出資を誰が決定できるかも確認します。出資額、資金の払込方法、職務執行者への権限、親会社への報告方法を設立前に揃えておくと、その後の運営が明確になります。
親会社から子会社へ人や資産を移す場合、業務委託、賃貸借、知的財産の利用など別の契約が必要になることもあります。設立登記だけでグループ内の取引条件まで決まるわけではありません。
将来の資金調達や出口まで比較する
少人数で運営し、親会社が経営を直接管理する子会社では、合同会社の柔軟な内部設計が合う場合があります。一方で、第三者出資、株式上場、株式譲渡による売却を予定するなら、設立時から株式会社を選ぶ判断もあります。
会社形態は設立費用だけで決めず、子会社を何のために作り、将来どのように運営・再編するかから選びます。合同会社と株式会社の違いと選び方のポイントも合わせて確認してください。
参考となる公式情報
法務省の設立手続と、法務局の法人代表社員用の申請書案内で、登記事項と追加書類を確認できます。